【S&S CYCLE】T124 公認取得エンジン載せ替え(オイルシステム)

2020年3月4日

プロトが提案する S&S CYCLE T124エンジン”公認” 載せ替えですが、 ”ロングストローク(S/B=1.12) / 124ci. (2030cc) / 圧縮比10.2&585カムインストール” エンジンでの公認取得を行い、商品化しております。

 

 

 

 

 

ノーマル比20%の排気量アップに対し,充分な強度・耐久性を確保したクランクシャフトおよびクランクケースをセットアップしたS&S T124コンプリートエンジンですが、併せて、忘れてはならないのがオイルシステムのアップグレードです。

ツインクール以外のハーレーエンジンは、水冷系を持たない”空冷”エンジンに分類されるのですが、空冷エンジンのエンジンオイルはエンジンの”潤滑”のみならず、”冷却”においても重要な役割を担います。

先ずは、燃焼室・天井(シリンダーヘッド)側の冷却。特にノッキングの起点となりやすいエキゾーストバルブの温度を規定値以内におさえる必要があります。燃焼火炎や排気ガスにさらされるエキゾーストバルブの笠部から、バルブステム→バルブガイドを経てシリンダーヘッドへ。また、バルブシートを経てシリンダヘッドへと熱を逃がし、空冷フィンからから外気へと放熱。シリンダーヘッドからの放熱経路として同様に重要なのが、ロッカーボックス内エンジンオイルが媒体となりシリンダヘッドを冷却、オイルの循環経路における各部材への放熱を経て外気へ放熱されるルートです。
一方、燃焼室・床側(ピストントップ)側の冷却、燃焼火炎から受けた熱量のうち、少量はピストンピンを経由しコンロッドへと逃げ、エンジンオイルに分散してくれます。他には、ピストンのトップランドを経由してピストンリングからシリンダーへ放熱、シリンダフィンから外気へ放熱される経路があります。あの薄いピストンリングが放熱経路なのですが、ピストンがピストンストロークにあわせて高速でシリンダ内を往復するため、見た目以上の冷却効果があります。さらにピストンの裏側(クランクケース内)なのですが、運転中はオイルミストが充満しており、高速で往復動するピストンから多くの熱を奪い、クランクケースへと分散させます。
といったように、”空冷”と称しつつも、実際のところはエンジンオイルの寄与度が無視できない、”空油冷”システムでエンジンが冷却され、安定的に運転できているわけです。

また、ツインカム以降のエンジンでは、ハイスピードクルージングとして排気量・出力向上が図られていますが、同時に冷却性を高める必要があることからエンジンオイルポンプの能力が向上しています。
併せて、油量UPだけではピストントップの冷却性が不足することから、”ピストンオイルジェット(オイルポンプで加圧されたオイルを、ノズルでピストン裏面に直接吹き付ける)”が各シリンダーに追加されるなど、エンジンのスープアップとオイルシステムのスープアップは同時に考える必要があります。

ノーマル比20%のスープアップを実現する S&S T124エンジンですが、オイルポンプも抜かりなくスープアップ済み。同時に、純正ツインカムの泣き所でもあるチェーン駆動のポンプシステムも、ギヤドライブにアップデート済み。
また、オイルの圧送量よりも重要と言っても過言ではない、オイルリターン側の容量も拡大されております。124ci.のポテンシャルを安心してお愉しみいただけるコンプリートエンジンです。