1950年代を名車をオマージュ|新生ベネリのブランドアイコン|「ライオンの仔」レオンチーノシリーズをご紹介

1911年にイタリアで誕生したモーターサイクルブランド「BENELLI(ベネリ)」。100年を超えるブランドの歴史の中でも、全盛期と言えるのが1950年代。現代以上にモーターサイクルメーカーがひしめき合い、各メーカーが独自の発想でしのぎを削る中で、現代のモーターサイクルに通じる「カタチ」が出来上がってきたのがこの頃だと思います。

そんな第二次世界大戦の影響も色濃く残る1950年に誕生し大衆車としてベネリの販売を大きく押し上げたのが

Leoncino(レオンチーノ)

レオンチーノ125のレース仕様車

当時は街道レースで活躍

戦後復興のさなか、ベネリの屋台骨を支えた名車

その名を受け継ぐモデルが現代のレオンチーノシリーズ。そんなブランドのアイコンモデルを日本未導入モデルの情報も交えご紹介します。

2000年代に入り新生ベネリとして舵を切り直したベネリですが、モデルラインナップを一新する中で「新生ベネリ」ブランドの威信をかけ誕生したのがレオンチーノ500。ネオクラシックデザインのスクランブラーとして今も人気のモデルで、よりスクランブラー色を濃くしたTRAILモデルもラインナップします。

レオンチーノトレイル

レオンチーノ500/TRAILは最近では珍しい360度のクランク角を採用する並列2気筒エンジンなど、基本コンポーネントを2023年秋に日本へ上陸したTRK502Xと共有する兄弟車。欧州のA2ライセンス(例えるなら日本の中型自動二輪免許)枠におさめ、また手の届きやすいプライス設定としたことでエントリー層の支持を集め、兄弟車のTRK502/Xと並び新生ベネリの販売実績を引っ張る存在です。

そして、次に登場するのがおなじみレオンチーノ250

先にリリースされた500ccモデルと共通の意匠を持ち誰が見てもレオンチーノと分かるスタイル。丸みを帯びた500ccモデルに比べよりエッジを効かせているところがデザイン上の差別化ポイントでしょうか。

レオンチーノ250は見れば見るほどデザインが秀逸だと思います。

大胆かつモダンでありながらどこかノスタルジーを感じさせるデザインはさすがMade in Italy。ベネリは中国資本となった今も車両の企画・デザインをかつての本社社屋を改装したペーザロのデザインセンターで行っています。

かつてのベネリを知る古いモーターサイクルファンの中には、中国資本と聞いてネガティブな感情をお持ちになる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、車両の企画・デザインはまぎれもなくイタリア。かつての名門がVOLVOやLotusなど誰もが知る一流ブランドを傘下に収めるGEERYの資本参加を受け、グローバルブランドとして再出発したと解釈していただければと思います。これはベネリに限ったことではなく、グローバルに展開する上で避けられない進化。強大な資金力を持つGEERYのお眼鏡にかなったベネリというブランド価値と前向きにとらえていただければと思います。

さて、レオンチーノ250ですが・・・

搭載するエンジンは排気量250ccの単気筒DOHCエンジン。19kw(25.8ps)の必要十分なパワーを持ち、何より街乗りからツーリングまで走るシチュエーションを選ばない扱いやすい特性が魅力。それでいて元気よくレスポンスしますから、イザ!となればあっという間にレブリミットまで吹けあがる元気さもあって、エントリー層からベテランまでどなたにも満足いただけるバランスの良いエンジン特性。

画像右が250ccモデル。ライディングしているのは女性です。

そんなバランスの良いエンジンをイタリアンブランドらしい「トレリスフレーム」に搭載。車重は整備重量(走行できる状態の重量)で162kgと軽量。シート高もこのクラスでは平均値と「輸入車だから」とかまえていると拍子抜けを食らう、いい意味で尖ったところのない優等生。これはベネリブランドのモデル全般に共通し、どのモデルも個性的なデザインでありながら非常にユーザーフレンドリーなんです。

意匠面ではオーバル形状のヘッドライトが500ccモデルとの差別化ポイント。ターンシグナルやモデルロゴもオーバル形状で、この直線と楕円の組み合わせが車体全体に散りばめられます。

スリムなシートと小ぶりなテールセクション。フェンダーレス仕様でより軽快感が際立つデザイン。灯火類は全てLEDです。

シートはこんな感じ。

タンクまでつながるデザインはトレールバイクの様であり、ここはベネリがこのモデルをスクランブラーに位置づける意匠の一つでしょうか。前方がスリムに絞られたコンパクトなシートですが絶妙な形状で長い時間座っていても快適。ハリのあるウレタンで路面からお尻に伝わるインフォメーションもいい感じ。細かいステッチの仕上がりも良く高級感のあるシートです。

足回りにはワンクラス上の装備を奢っています。倒立タイプのフロントフォークはインナーチューブ径41mm。放熱性に優れるペータルタイプのディスクローターに対抗4ポッドキャリパーの組み合わせはコントローラブルかつ十分な制動力を発揮。もちろんABS装備です。

マフラーもご覧のとおりオーバル形状。単気筒らしい歯切れよさとともに心地よい低音を響かせます。ステンレス製ヘアライン仕上げのサイレンサーにはレオンチーノのロゴが入ります。

デジタルディスプレイはあえてのシンプルデザイン。主張しすぎないデザインは絶妙に車体に溶け込みます。スピードやタコ(回転数)水温や燃料計に加えシフトインジケーターも装備。ちなみにシフトは6速です。

そして、レオンチーノシリーズに共通するデザイン上の一押しポイントがコレ

フロントフェンダー上に神々しく鎮座するライオン

レオンチーノの意味はイタリア語で「ライオンの仔」。あえて子ではなく「仔」としていますが、動物の子供のことを表すときに「仔」と使うことがあるそう。私はお恥ずかしい話ですがベネリに携わるようになって初めて知りました。

このライオンは既にご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ベネリのブランドマスコット。強さの象徴として、1930年代からブランドロゴにライオンが入るようになりました。

1932年のベネリロゴ。月桂冠と三つの星はブランド聡明期に獲得したレースタイトルを表すそうです。

かつては四輪自動車のボンネットにブランドマスコットをオーナーメント的に装備するモデルがありましたが、衝突安全性の問題でしょうか?今は無くなりました。そんな中、ありそうでなかった貴重な装備をモーターサイクルで。

これ、冒頭の名車元祖レオンチーノにももちろん装備されていました。

初のオーナーミーティング「Japan Benelli Day 2023」に登場した"元祖"レオンチーノ

こうして見比べると現行モデルは随分控えめになりましたが、車両のネーミングだけでなくこういった装備もしっかりオマージュしてるところ、遊び心があっていいと思いませんか?

自身のブランドマスコットであるライオン。その「仔」と名付けるぐらいですから、このモデルに対する思い入れの強さが分かるというものです。

このライオンの仔、現代では増殖傾向でありまして・・・

海外ではレオンチーノ800なるフラッグシップが登場しています。

こちらはスポークホイールにアップマフラーを組み合わせたTRAILモデル。シリーズのフラッグシップに相応しい存在感。ブランドのアイデンティティーを感じさせる個性があり、デザイナー頑張ったな!という感じ。

ここまで読んでいただいた方なら分かる「どう見てもコイツはレオンチーノ」という意匠(デザイン)。ちゃんとライオン君もいます。

レオンチーノ800/TRAILは昨年イタリアで発売され好調なセールスを記録しています。いずれ日本市場へも導入されるであろう期待のフラッグシップにもご期待ください。

500cc、250cc、800ccとご紹介してきましたが、車両紹介の大トリを務めるのが

2023年秋口に日本上陸を果たしたシリーズの末弟「レオンチーノ125」

新興国向けに開発されることが多い125ccモデルですが、このレオンチーノ125は欧州の若年層、エントリーユーザー向けに企画されたモデル。250ccモデルと共通の外装パーツを使った堂々たる車格をはじめとするクラスを超えた贅沢なつくりが魅力。見慣れない人なら250ccモデルと見分けがつかないかも。

エンジンは先に日本に上陸している125Sと共通の単気筒SOHCエンジン。最大出力9.4kw(12.8ps)は他メーカーのDOHCモデルには一歩及びませんが、その分低速域のトルク特性など扱いやすさに重点を置いた仕様。他ではあまり聞いたことのない3スパークプラグ(点火プラグが3本)を採用し燃焼効率の良さと高燃費を実現。(WMTCモードでの燃料消費率45.5km/L)

より実走行に近い条件での計測値であるWMTCモード。燃料タンク容量は12.5Lですので、これを元に計算すると

なんと!500kmを超える距離を無給油で走破可能

車体は先に触れたように250ccと外装パーツを共通としていることもあって、シート高が795mmとやや低い(体感上は数値以上に低く感じます)以外はほぼ250ccモデルと一緒。もちろん、エンジンや足回りは排気量にあわせダウンサイジングされますので車重は軽く整備重量で145kgとなります。これぐらいであれば女性でも重さに戸惑うことはないでしょう。

トルクフルなエンジン特性と大柄な車体は走行時の安定感に寄与。125ccというとその軽快さを生かして街乗り重視のセカンドバイクという位置づけになりがちですが、レオンチーノ125はまたがって軽快、走りだせばドッシリ安定し軽すぎるが故のフラフラ感はありません。また、高剛性なフレーム、サスペンションの組み合わせで路面の凹凸も上手くいなしてくれます。このあたりは長時間のライディングでは疲労度の違いとして現れるポイント。先に触れたようにたっぷりと航続距離も稼げますので、ぜひガンガンとツーリングにも連れ出していただきたい一台です。

250ccとは異なるデザインのトレリスフレームを採用。鉄パイプを一本一本溶接でつなぎ合わせる手法で製作されるフレームは製造工程が複雑。そんな手間のかかる工法を125ccに採用するあたりもデザインに対するこだわりを感じさせるポイントです。

さてさて、ベネリがブランドの威信をかけリリースするアイコンモデル「レオンチーノ」は全国のベネリ正規取扱店でご覧いただけます。試乗車を用意している取扱店もありますのでぜひ実際に乗ってご体感いただきたいです。

現在ベネリ正規取扱店は北は北海道、南は沖縄まで全国40店舗以上

ベネリブランドサイトの販売店検索ページでは展示車や試乗車の状況もご確認いただけます。また、各ページに配置しております見積り依頼ボタンを押していただきますと、直接取扱店へお見積りのご請求もしていただけるようになっています。取扱店とのコミュニケーションにご活用ください。

ベネリブランドサイト▶https://www.plotonline.com/benellimotorcycle/

所有感を満たす個性あふれるイタリアンデザインの造形に走りの良さと扱いやすさ、そして手の届きやすいプライスを高次元でバランスしたレオンチーノ125&250、ぜひ一度実車をご覧になってみてください。